🎦草彅さん演じる凪沙の母性に心を動かされました。『ミッドナイトスワン』

ちょっと前の話になりますが、

何もしていないといやなことばかり考えてしまうので、

ひまさえあれば映画を見ていました。

この映画はテレビ番組『ぽかぽか』で

真飛聖さんがおすすめしていた一本です。

それがきっかけで見てみたのですが、

見て本当によかったです。

（真飛さんも映画のキャストのおひとりです）

この映画を通して

いちばん強く感じたのは、

草彅さん演じる凪沙（なぎさ）の

視線やしぐさからにじみ出るような「母性」でした。

凪沙はトランスジェンダーであるがゆえに

いろんな不条理を感じたり、

ホルモン注射の副作用に悩まされたり、

見ていても本当に切なくなるくらいの

つらい日々を過ごしているのですが、

ひょんなことから

親戚の娘の一果（いちか）をあずかることになり、

そこから凪沙の生活には変化がおとずれます。

凪沙はときに、

自分が抱えている重荷の数々に耐え切れず、

「なんで私ばっかり！」とくり返し叫びます。

どれひとつとっても、

簡単に解決できないことばかりで

これも見ていて本当に切ない。

いっぽう、親から虐待を受けていた一果も

誰にも心を開くことができず、

自暴自棄とも言える日々を過ごしています。

そんな、ある意味誰にも分かってもらえないような

「孤独」を抱えているふたりが

少しずつ少しずつ寄り添っていく姿はとても尊く、

ふたりの結びつきがどんどん強くなっていくように思えました。

一果は偶然、とあるバレエ教室の前を通りかかり、

バレエの魅力にとりつかれます。

そして一果にはバレエの才能がありました。

寝ても覚めてもバレエに打ち込む一果。

凪沙にはそんな一果の姿が一条の光のように感じられたのか、

バレエ教師の片平（真飛聖さん）とともに、

一果の力になろうと尽力します。

一部ショッキングなシーンもあり、

なかなか見るのがハードな作品ではありましたが、

なんていうか、

「絶望の中の希望」とでも言ったらいいのか、

見終わったあとで、

心の奥底にあたたかいものが

静かにこみあげてくるような気がしました。